AO入試とは、大学側が求める学生像に近い学生を全国から求めて選抜する、入試制度です。AOとはアドミッションオフィスと言い、選抜を含めた入学業務全般を担当する大学の専門部局のことを指します。
大学が求める人物像に近い学生を求める入試ですから、その学生がどういう人物であるかを知る手段となる、志願理由書・論文・面接が重視されます。もちろん大学側がある程度の知識や経験を求める場合もあり、英語資格や高校3年間でどんなことをしてきたかを、学生に問うこともあります。
以前のAO入試は、学力とは全く違うことが評価され、学力がなくても合格出来たケースもあります。よって、AO入試に良いイメージを持たない人も、依然多くいます。
しかしながら、近年はそうではありません。評定や英語資格の有無を出願条件にしている大学も増え、ある程度の学力がある生徒しか出願できないようになっている場合も多くあります。また、試験にも学科試験や論文が課せられていることもあり、学力がなくても合格できるというイメージのままAO入試を目指すと、痛い思いをすることになるでしょう。
しかしながら、一般入試のように学力の有無だけで合否を決めるわけではありませんから、模擬試験の結果では合格が難しいと思われる場合でも、合否の判断基準の違いから、合格できることもあります。2ランク上の大学は難しくても、1ランク上の大学であれば、AO入試で合格できることはあり、出願条件さえ満たしていれば、チャレンジすべき入試制度であると思います。
まずは、自分が行きたい大学の入試要項をじっくりと読んでみてください。AO入試が行われているかどうかを確認する必要があります。もしその大学がAO入試を実施しているようなら、次に調べることは出願条件です。評定や英語資格の有無について調べ、自分が出願条件を満たしているかを調べましょう。
もし、出願できる状態にあれば、次に目を通すのはアドミッションポリシーです。アドミッションポリシーとは、入学者の受け入れ方針のようなもので、どのような学生を求めるかをまとめたものです。
このアドミッションポリシーに沿って、入学願書を提出するのですが、願書を取り寄せると、志願理由書、どんなことを学びたいか、将来の希望などを書いていかなくてはなりません。書かなければならない書類が多いので、最低でも1か月前から準備を勧めなくてはいけなくなるでしょう。
入学試験を受ける書類を提出したら、次は試験対策です。AO入試でも学科試験を受ける大学は多くあり、英語や小論文などの対策が必要になります。もちろん面接が行われることも多くありますから、その対策も必要になるでしょう。
このように、AO入試はたくさんの提出書類があり、試験対策も必要になってきます。そもそも出願条件を満たしていなければ受験もできませんから、遅くても高校2年生頃から準備し始めるようにしなくてはなりません。
ちなみに、AOでの受験を目指すには、やはり英語資格は欠かせません。それも英検だけではなく、TEAPやGTECなど、複数持っている方が良いでしょう。多くの大学では英検が使えますが、同志社など一部の大学では、英検が使えないことがその理由です。
また、英検だけではなく、ボランティア活動や海外への渡航経験も重視されます。これらの経験も積んでおきましょう。
AO入試で合格をつかむには、次の2点が必要です。1点目は高い英語力です。高校生なら、通常の英語力は英検2級程度でしょう。実際、英検2級を高1の1学期に取得すれば、センター試験で75%ほどの得点率になります。よって、多くの大学では、英検2級が出願条件になっています。しかし、ある程度の大学では、その程度では合格しません。AO入試で出題される英語の試験は、英検2級やセンター試験以上に、難しい場合がほとんどです。よって、AO入試で合格しやすいのは、高い英語力を持つ生徒であると言えます。
2点目は、大学をよく調べた生徒です。AO入試は自己推薦とは異なり、大学が求める人物に近い生徒を募集する入試制度です。よって、その大学がどういう人物を求めているのは、どんなことが学べるのか、どういう人材を育成しようとしているかを、徹底的に調べ上げなければなりません。AO入試の志願理由書では、①これまでどんな活動をしてきたか(過去)、②大学でどんなことを学びたいか(現在)、③卒業後はどうしたいか(未来)、これら3つのことが問われます。これら3つがきちんとつながりある志願理由書を作成し、尚且つそれが大学側が求める人材と一致していなければならないのです。
さらに、合格を大きく決定づけるものがあります。それは、その大学、あるいはその学部が、どんなことをしようとしているのかを、一言でズバッと言えることです。もしそのことに気づけば、その大学や学部への合格は、大きく近づくことになるでしょう。
ですが、HPを見ても入試要項を見ても、あまりそのことは書かれてはいません。自分が受験しようとしている大学や学部の、あらゆる資料に目を通せば、必ずそのことが見えてくるはずです。