近年では高志中や北陸中学などを受験する生徒も増えてきましたが、福井で中学受験といえば、以前はこの附属中だけでした。ここでは、近年の傾向を元にした、福井大学附属中学の受験についての対策などをアドバイスいたします。
■福井大学附属中学について
住所
〒910-0015 福井県福井市二の宮4丁目45−1
■高志中学との併願ついて
両校の受験日程から、福井大学と附属中学と高志中学の2つを受験することは可能です。ですがそれは、福井大学附属中学を受験したものの不合格となり、高志中学を受験する場合のみです。
まず、附属中学の入試と合格発表は11月中に行われます。高志中学の願書受付期間は12月に入ってからで、入試と合格発表は1月になります。よって、附属中学を受験しもし不合格になってしまった場合は、高志中学を受験することが可能となります。附属中学に合格した場合、合格者登校日があるのですが、それは高志中学の入試と同じ日になります。よって、附属に合格し高志中も受験するとなると、附属の合格を放棄することになります。
■福井大学附属中学入試過去問題について
福井大学附属中学は入試問題を公表しておりません。しかし二重まる学習塾では、受験した生徒からどんな問題が出題されたかを調査しており、それをもとに類題を作るなどの対策を行っています。
その入試に関してですが、入試で課されることは3つあります。1つ目が国語、2つ目が算数、3つ目が集団活動です。それぞれの詳細は以下に記しますが、高志中学に比べると国語や算数の問題はオーソドックスなものになっています。ですがあくまで高志中学の問題と比べてというだけであり、問題が簡単だというわけではありません。いくら学力が高い福井といっても、小学校で学習していることと入試問題の難易度の差はかなりあります。
難しい問題の場合、最高点は80点、あるいは90点くらいになります。そうなると100点満点ではなく90点満点の試験を受けているのと同じになります。つまり、難しい問題は点差がつきにくい現象を生むことがあるのです。附属中学の入試問題は、そこそこ難しいが高志中学ほどではないというレベルです。そうなると100点近い点数をとる子もおり、受験者の学力や対策が、合否に影響しやすくなるのです。
■福井大学付属中学入試問題(国語)
福井大学附属中学の問題は、全国の他の入試問題や高志中学の問題と比較し、そこまで難しい印象はありません。小学6年生を対象にしたものですから、やはり基礎基本の定着を見極めることを目的とした、基礎力そして適度な応用力を重視した良問だといえます。やはりその中でも、要約問題は頻繁に出題されていますので、学習の中心はここになってくるかと思います。また、2019年度の入試では作文が2つ出題されました。作文は時間配分も大切ですが、受験差の文章力や表現力がそのままは寧されます。
二重まるでも、問題集などを用いて国語の要約や作文の指導を行っていますが、問題集にある解答だけが、正解とは限りません。日本語ですから、文章の順番や言い回しを変えるなどがあっても良いわけです。こうした要約や作文の指導が出来る先生のもとで学習するか、あるいは解説のボリュームが多い問題集を使って学習することで、附属中学の合格が近づいてくると思われます。
■福井大学付属中学入試問題(算数)
一昔前は算数力が重視された時代がありました。近年では英語が重視される傾向が続いています。こうした風潮は中学受験にも影響を与え、国語に対して算数の問題の難易度が高いケースがよくあります。ですが附属中学の場合、算数の問題はそこまで難しくはありません。難易度で言えば、国語も算数も同じぐらいの場合が多いなという印象です。
といっても、応用問題もそれなりに出題されます。速さや割合に関する応用問題はもちろんですが、数の組み合わせや数列に関する知識が必要な計算問題も出題されます。高志中学の問題に比べると、附属中学の問題の方が解きやすい。そんな印象を持っている方も多いのではないでしょうか。ですがこのことは、出来不出来が合否に影響しやすいことを意味しますから、日頃学校で使ている教科書の例題ぐらいはスラスラ解けることに加え、中学入試の問題集などで取り扱われている標準問題も、難なくこなせるように準備しておくことが必要です。
■福井大学付属中学入試問題(集団行動)
集団行動とは、少人数のグループに分かれ、同じグループのメンバーと話し合いや発表などを行います。そうした活動の中から、自主性、創造性、協調性などが審査の対象となります。では、どう振る舞えばよいのでしょうか?どういったことに注意すればよいのでしょうか?同じようなことを入試で課している中学校はほかにもあり、リーダーシップをとると良いなどといった内容の書き込みが、ネットで見受けられます。ですが、「船頭多くして船山に登る」この諺にあるように、リーダーばかりではうまくいきません。
リーダーシップを発揮しようと気負いすぎると、勝ち負けを意識します。ですがそのことばかり考えず、そのグループのみんなが合格すると良い。こう考えて行動する方が得策です。なぜなら、例えば集団面接が行われている大学では、自分の答えで勝負しようという受験生より、相手の話をしっかり聞く受験生の方が評価は高くなるからです。別の受験生が話をしている際、自分のことばかり考えている受験生より、別人の話をの話をしっかりと聞き、頷いたりしている受験生の方が、印象は良いでしょう。なぜならそれが、協調性につながるからです。
また、集団討論の場合も同じです。リーダーシップを発揮しようと、自分の意見ばかりを言う受験生より、その集団の中で自分の役割を見つけ、意見を調整する役割を担った方が得策です。もちろん、自分の意見を言うことは創造性の面で評価を受けやすくはなりますが、突然与えられた課題に対し、短時間で誰も発しないようなアイディアを思いつくことなど、あまりありません。
つまり、福大附属中学の受験に際しては、自分が自分がと自己をPRすることばかりを意識して自主性や創造性を追い求めるのではなく、人の話に耳を傾け意見の調整などをし、協調性を追い求める方が得策と言えます。
2019年度入試合格実績とその対策について
二重まるから福井大学附属中学に受験したのは4名おり、そのうち3名が合格いたしました。ここでは、受験対策を始めたタイミング、勉強の内容、通塾の回数などを詳しく書いていきます。
■塾に通い始めたタイミング
合格したうち2名の生徒は、5年生の初めに塾に通い始めました。いずれも福井市内の子ではなく、坂井市とあわら市に住む子です。塾に通い始めたころは小学5年生の内容から取り掛かり、スーパー飛び級方式で先に先に進む学習を始めました。
■対策をし始めたタイミング
小学6年生の夏には小学生の内容をほぼ終えました。合格者2名のうち1名は、夏休みの終わり頃にようやく附属中学の受験を決めました。夏休が終わるまでは、特別な対策はしていなかったのです。
6年生の夏までに重点的に取り組んだのは、国語、作文、および算数の応用問題です。とりわけ国語は要約問題に力を入れました。国語力は全ての科目に通じます。また要約問題は国語はもちろんですが、どの科目においても問題のポイントを把握することに通じるため、重点的に行いました。夏休みごろから作文指導を多くするようにしたので、対策をし始めたのは夏休みからだといえます。
■対策を本格的に開始したタイミング
福大附属中学の受験対策を本格的に始めたのは9月になってからです。合格者2名はいずれも、この時期から週に2回塾に通うようになりました。そして日曜日の無料対策授業にも、ほぼ休まず参加しました。対策は過去問題、およびその類題になります。過去問題といっても附属中学のものばかりではなく、高志中学や全国の中学入試の過去問題を解くようにしました。
またこの時期から、日曜日に無料の対策授業を行いました。過去問題を解くことは、少なくとも1科目50分間は問題と向き合うことになります。先生はその間、生徒が問題を解き終えるのを見ているだけなのです。よって、その時間のために月謝を頂くことは心苦しいので、無料の講習会を行っています。生徒が問題を解き終えたら、解答・解説の時間となります。生徒に間違えた問題を開設するだけではなく、次に似たような問題に出くわした際にもう間違えないようにする。そのための勉強法を伝えるようにしました。
10月になっても9月と同じように、週2回の授業と日曜日の対策授業を行いました。日曜日の対策授業は3時間ですが、そのうち半分は過去問を解いている時間であり、指導時間は1時間ほどです。
この時期の過去問題で取り組んだのは、効率的に問題を解くことです。中学入試の問題は難しい問題があると、生徒はそこに時間をかけ過ぎ、全ての問題を解けないことがあります。そうなると得点は伸びませんから、解ける問題から解き、効率的に得点を積み重ねる練習を致しました。
■附属受験に重要なこと
附属中学の入試は国語と算数です。高志と違い社会や理科の問題は出題されません。これを楽だと捉える人もいますが、国語も算数も得意である必要があります。どちらも、もし苦手である場合はそれを克服するのに時間がかかります。また、付属中学入試レベルまで引き上げるとなるとそれなりに時間を要しますから、やはり小学5年生くらいから塾に通い始める方が無難です。
最初は週1回くらい授業に参加し、苦手がないかなどを確かめながら授業を進めるべきでしょう。苦手がないようなら、先に先に進めていくことをお勧めします。このことは、自分で考える能力の強化につながります。応用問題を解くことは、単に公式の利用にとどまりません。習った複数のことを上手に組み合わせ、自分で答えまでの過程を組み立てていく、そんな作業になります。その訓練になるのは、やはり自分の力で先に進み、分からぬことはちょっとしたヒントを手掛かりに自分で答えを出すという、スーパー飛び級の学習法が合っているのです。
■受験に際して
小学生の多くは、習い事などで忙しい日々を過ごしています。特に福井の子は、習い事をいくつも掛け持ちしているケースも見られます。長年続けてきた習い事を、受験だからと途中でやめてしまうことにためらいを感じる人もいるでしょう。そうです、附属中や高志中学を受験するといっても、勉強にかける時間や対策を始めるタイミングは、受験者によって違いが見られるのです。合格を目指すなら、早め早めの準備と、受験前の2か月間は他の習い事をお休みすることが望ましいといえます。
また、受験対策だけを希望する方もいます。ですが、ある程度の学力がなければ、いくら過去問題や類題を解くといった対策を行っても、得点は伸びては来ません。そして何より、難しい問題を自分の力で解こうとする気持ちを育てていかないと、受験に向けての学習は成功しません。
福井は学力が高い地域だと言われています。ですがそれでも、学校で習っていることと入試問題の難易度の差はかなりあります。前述の通り、附属中学を受験し合格するために必要なことは、対策を施す前に学力が必要になってきます。この豊かな学力をより質の高いものにするために、小学5年生のうちから受験準備を始めることをお勧めします。
■附属中学合格者インタビュー