近年では高志中や北陸中学などを受験する生徒も増えてきましたが、福井で中学受験といえば、以前はこの附属中だけでした。ここでは近年の傾向を元に、福井大学附属中学の受験について、そしてその対策などを解説いたします。
■福井大学附属中学について
住所
〒910-0015 福井県福井市二の宮4丁目45−1
■福井大学附属中学の入試について
福井大学附属中学では、毎年11月頃に入学試験が行われています。45名ほどの募集に対して90名が受験するというのが近年の状況で、倍率は2倍くらいになります。しかし、福井大学附属小学校から他の中学校に進学する生徒や、附属中学入試に合格しても他の中学校に進学するため入学しない生徒もおり、追加合格者も毎年数名出ております。他の中学校というのは高志中学である場合が多く、この追加合格の連絡は、高志中学の入試や合格発表の前後に多くあります。
試験科目は国語、算数、そして集団活動です。それらの内容については、以下で詳しく解説いたします。
■福井大学附属中学入試問題:国語
福井大学附属中学の問題は、全国の他の入試問題や高志中学の問題と比較し、そこまで難しい印象はありません。小学6年生を対象にしたものですから、やはり基礎基本の定着を見極めることを目的とした、基礎力そして適度な応用力を重視した良問だといえます。やはりその中でも、要約問題は頻繁に出題されていますので、学習の中心はここになってくるかと思います。また、近年の入試では作文が出題されています。作文は時間配分も大切ですが、受験する生徒の文章力や表現力がそのまま表れるので、この対策も必要になるでしょう。
二重まるでも、問題集などを用いて国語の要約や作文の指導を行っています。しかし、問題集にある解答だけが、正解とは限りません。日本語ですから、文章の順番や言い回しを変えるなどがあっても良いわけです。こうした要約や作文の指導が出来る先生のもとで学習するか、あるいは解説のボリュームが多い問題集を使って学習することで、附属中学の合格が近づいてくると思われます。
■福井大学附属中学入試問題:算数
一昔前は算数力が重視された時代がありましたが、近年では英語が重視される傾向が続いています。こうした風潮は中学受験にも影響を与え、国語に対して算数の問題の難易度が高いケースが、以前は見られました。近年の附属中学の算数の入試問題は、そこまで難しくはありません。難易度で言えば、国語も算数も同じぐらいの場合が多いなという印象です。
しかしながら、応用問題もそれなりに出題されます。速さや割合に関する応用問題はもちろん、数の組み合わせや数列に関する知識が必要な計算問題も出題されます。高志中学の問題に比べると、附属中学の問題の方が易しく、解きやすいという印象です。ですがこのことは、出来不出来が合否に影響しやすいことを意味します。合格のためにあある程度の正解率が必要になります。よって、日頃学校で使用している教科書の例題ぐらいはスラスラ解けるようになり、中学入試の問題集などで取り扱われている標準問題も、難なくこなせるように準備しておくことが必要です。
■福井大学附属中学入試問題:集団行動
附属中学の入試で毎年行われている集団行動とは、受験生が少人数のグループに分かれ、同じグループのメンバーと話し合いや発表などを行うというものです。そうした活動の中から、自主性、創造性、協調性などが審査の対象となります。では、どう振る舞えばよいのでしょうか?どういったことに注意すればよいのでしょうか?同じようなことを入試で課している中学校はほかにもあり、リーダーシップをとると良いなどといった内容の書き込みが、ネットで見受けられます。しかしながら、「船頭多くして船山に登る」この諺にあるように、リーダーばかりではうまくいきません。
リーダーシップを発揮しようと気負いすぎると、勝ち負けを意識します。ですからそのことばかり考えず、同じグループのみんなが合格すると良い。こう考えて行動する方が得策です。なぜなら、集団面接が行われている大学では、自分の答えで勝負しようという受験生より、相手の話をしっかり聞く受験生の評価は高くなるからです。別の受験生が話をしている際、自分のことばかり考えている受験生より、他者の話をしっかりと聞き、頷いたりしている受験生の方が、印象は良いでしょう。そうした協調性をもって、他者を活かすような素質を身につけると良いでしょう。
また、集団討論の場合も同じです。リーダーシップを発揮しようと自分の意見ばかりを言う受験生より、その集団の中で自分の役割を見つけ、意見を調整する役割を担った方が得策です。もちろん、自分の意見を言うことは創造性の面で評価を受けやすくはなりますが、突然与えられた課題に対し、短時間で誰も発しないようなアイディアを思いつくことなど、あまりありません。
つまり、福大附属中学の受験に際しては、自分が自分がと自己をPRすることばかりを意識して自主性や創造性を追い求めるのではなく、人の話に耳を傾け意見の調整などをし、協調性を追い求める方が良いといえます。
■高志中学との併願について
両校の受験日程から、福井大学と附属中学と高志中学の2つを受験することは可能です。ですがそれは、福井大学附属中学を受験したものの不合格となり、高志中学を受験する場合のみです。もし福井大学附属中学に合格した場合、その合格者登校日は高志中学の入試と同じ日に行われます。したがって、附属中合格者が高志中学を受験するとなると、合格者登校日には行けませんから、不合格となってしまいます。
ちなみに、附属小学校に通っている生徒は無条件で附属中が校に進学できます。しかし、附属小学校の生徒の中には高志中学を受験する生徒もいます。仮に高志中学を受験し不合格になっても、附属小学校の生徒は附属中学校に進学することが出来ます。
■福井大学附属中学の過去問と目標点
福井大学附属中学は入試問題を公表しておりません。しかし二重まる学習塾では、受験した生徒からどんな問題が出題されたかを調査しており、それをもとに類題を作るなどの対策を行っています。
どのくらいの点があれば合格するかについてですが、問題が難しい場合の最高点は80~90点くらいになります。そうなると100点満点ではなく90点満点の試験を受けているのと同じになります。つまり、難しい問題は点差がつきにくい現象を生むことがあるのです。附属中学の入試問題は、そこそこ難しいが高志中学ほどではないというレベルです。そうなると100点近い点数をとる子もおり、受験者の学力や対策が、合否に影響しやすくなるのです。
何点あれば合格するかについては、大体80点を目指すと良いとお考え下さい。これは勉強をしていけば、決して難しいというわけではありません。
■福井大学附属中学 当塾の合格実績
2023年度入試…受験者2名中➔合格者2名
2022年度入試…受験者8名中➔合格者8名
2021年度入試…受験者5名中➔合格者3名
2020年度入試…受験者5名中➔合格者4名
2019年度入試…受験者3名中➔合格者2名
■塾に通い始めたタイミング
合格者の多くが、6年生の春には当塾で勉強をし始めました。しかしそれまでに、他の塾に通っていたという生徒は多くおり、日頃から学校の宿題以外の勉強はしており、6年生から本格的に受験勉強をし始めたと説明するほうが適切でしょう。塾には週に2回~3回通っている生徒が多く、附属中学の受験には必要ありませんが、理科や社会の授業を受講している生徒も多くいます。
■附属中学入試対策について
附属中学受験者の多くは、小学6年生の夏には小学生の内容をほぼ終えている状態でした。しかしながら、受験直前に附属中学を受験することを決め、夏休が終わるまでは特別な対策はしていなかったという状態の生徒も1名います。
6年生の夏までに重点的に取り組んだのは、国語、作文、および算数の応用問題です。とりわけ国語は要約問題に力を入れました。国語力は全ての科目に通じます。また要約問題は国語はもちろんですが、どの科目においても問題のポイントを把握することに通じるため、重点的に行いました。夏休みごろから作文指導を多くするようにしたので、対策をし始めたのは夏休みからだといえます。
■附属中学入試で力を入れたこと
附属中学の受験対策を本格的に始めたのは9月からです。合格者はいずれも、この時期から塾での授業のみならず、積極的に宿題などを求めるようになりました。授業は夏休み頃から過去問題やその類題を解くことになります。過去問題といっても附属中学のものばかりでなく、全国の中学入試の過去問題を解きました。
また附属中学では集団活動も試験で行われますが、この集団活動は過去の事例に基づき、教室での対面授業において、本番そっくりな形式を実際に体験していただけます。
■附属中学入試に効果的な学習法
附属中学の入試は国語と算数です。高志と違い社会や理科の問題は出題されません。これを楽だと捉える人もいますが、国語も算数も得意である必要があります。どちらも、もし苦手である場合はそれを克服するのに時間がかかります。また、付属中学入試レベルまで引き上げるとなるとそれなりに時間を要しますから、やはり小学5年生くらいから塾に通い始める方が無難です。
最初は週1回くらい授業に参加し、苦手がないかなどを確かめながら授業を進めるべきでしょう。苦手がないようなら、先に先に進めていくことをお勧めします。このことは、自分で考える能力の強化につながります。応用問題を解くことは、単に公式の利用にとどまりません。習った複数のことを上手に組み合わせ、自分で答えまでの過程を組み立てていく、そんな作業になります。その訓練になるのは、やはり自分の力で先に進み、分からぬことはちょっとしたヒントを手掛かりに自分で答えを出すという、先へ先へ自分お力でやり進めるという学習法が良いと思われます。
■附属中学受験に際して
小学生の多くは、習い事などで忙しい日々を過ごしています。特に福井の子は、習い事をいくつも掛け持ちしているケースも見られます。長年続けてきた習い事を、受験だからと途中でやめてしまうことにためらいを感じる人もいるでしょう。そうです、附属中や高志中学を受験するといっても、勉強にかける時間や対策を始めるタイミングは、受験者によって違いが見られるのです。合格を目指すなら、早め早めの準備と、受験前の2か月間は他の習い事をお休みすることが望ましいといえます。
また、受験対策だけを希望する方もいます。ですが、ある程度の学力がなければ、いくら過去問題や類題を解くといった対策を行っても、得点は伸びては来ません。そして何より、難しい問題を自分の力で解こうとする気持ちを育てていかないと、受験に向けての学習は成功しません。
福井は学力が高い地域だと言われています。ですがそれでも、学校で習っていることと入試問題の難易度の差はかなりあります。前述の通り、附属中学を受験し合格するために必要なことは、対策を施す前に学力が必要になってきます。この豊かな学力をより質の高いものにするために、小学5年生のうちから受験準備を始めることをお勧めします。