●学力診断テストとは何か?
学力診断テストとは校長会テストともよばれるように、福井県の校長会が作成しています。校長会とは、福井県にある74の公立中学校の校長先生が会員となり、福井県の中学校教育の充実発展のために研究と連携を深めことを目的とした組織です。
この校長会にはいくつかの専門部会があり、その1つが進路対策部となります。ここでは高校入試に関するアンケート調査や進路希望調査を実施し、その結果をもとに、よりよい進路指導のあり方を検討協議します。また、基礎基本の定着と確かな学力の育成を目指し、学力診断テストを作成・実施しています。その結果は、教師の指導法、授業改善、生徒の自己評価の資料として活用しているようです。
つまり学力診断テストとは、校長会が実施するテストであり、その結果を元に進路指導が行われることになります。また学力診断テストは、福井県内の中学3年生が同じ日に受ける唯一のテストであり、県立高校の入試問題に近い形式で出題されるテストであることからも、とても重要なテストと言えます。
●学力テストは受験校を決める上で最も重要視されるテストです
学力診断テストは前述の通り、校長会が実施する重要なテストとして位置づけられています。しかし、確認テストも重要と言われていますが、どのように違うのでしょうか?
もちろん、1回のテストだけで受験校を決めるわけではありません。学力診断テストが行われるのは11月であり、福井県の場合、私立高校の入試は2月に、県立高校の入試は3月に行われます。その間、成績が上昇することもあれば、反対に下降してしまうこともあります。
多くの場合、学力診断テストの結果を最重要視しますが、その後何回か実施される確認テストの結果と合わせ、慎重に受験校を決定しています。
●近年の傾向
近年、学力診断テストは難化していると言えます。これは大学入試改革と連動しており、記述問題などが増えたことが理由として挙げられます。
前述のとおり、学力診断テストは受験する高校を決める上で重要視されるテストです。しかし、難化傾向にあることから、以前のように「藤島は420点必要」などということはありません。近年は特に、センター試験同様、上位層の点数が抑えられるような傾向が続いております。
●英語の傾向と対策
1.長 文(400字程度の長文を読み解く)
2.英 作(自分の意見を5文で書く)
3.会話文(350字程度の会話文を読み解く)
4.放 送(10分程度の放送の内容を聞き取る)
英語では長文と会話文が出題され、配点の5割以上を占めます。まず求められるのは、英文を読み取る力を養い、そこに何が書かれているかを把握することでしょう。そして、問われていることを正しく日本語で説明できるように、和訳の能力を磨きましょう。
ここで注意しておきたいことは、英語の文章を読んで、感覚で日本語に直していると、思わぬ部分で減点されてしまうことが多々あるということです。重要なテストですから採点基準も細かく決められています。ですからなんとなく内容があっていたとしても、採点基準に照らし合わせると、完全な正解とは認められないのです。減点を避けるために、直訳を基本に和訳する練習をすると良いでしょう。
また、多くの生徒が苦手としているのはリスニングです。リスニングとは、放送される英語の内容を耳で聞き、その聞き取りの能力を問われます。きちんと英語を聞き取りたいのであれば、自分が英語をたくさん口にする必要があります。アメリカのアクセントには、繋げる、省略する、wやyの音が挿入されるなど、いくつかの特徴があります。聞いているだけではなく、自分も同じように発音してみることが、それらの特徴がを掴むのに大いに役立つでしょう。
●国語の傾向と対策
1.論説文
2.小説文
3.古 文
4.漢 字
国語で求められるのは言うまでもなく、文章を読み取る力です。なぜならば、そこに書かれている文章の内容をきちんと読みとらなければ設問には答えられません。また、国語の答えというのは、本文中に書かれているのです。ですから、優れた読み取りの能力があれば、本文中に書かれている答えを見つけ出すことが出来るのです。
論説文で聞かれていることは、筆者がどんな主張をしているかということです。ですから、「つまり」、「したがって」などの重要なキーワードとなる言葉に反応できるようになると、筆者の言いたいことが見つけ出しやすくなります。また、筆者の主張というのは抽象的なものである場合が多く、それをわかりやすく伝えるために具体例が用いられます。ですから、本文中に書かれている内容を具体論と抽象論に分けて考えることも、筆者の主張な何かを知るうえで重要となります。
小説文や随筆文にも、筆者の言いたいことが書かれています。しかし論説文とは違い、筆者の主張は、登場人物の経験を介して読み手に伝えられます。ですから小説や随筆で重要となるとは、登場人物の感情の変化なのです。感情が変わる時にこそ何らかの気付きがあり、そこで考えの変化が生まれるからです。また小説や随筆に書かれている文章は、心理描写と情景描写とに分けることが出来ます。心理描写とは登場人物の心理を映し出したものとなり、情景描写とは事実ということになります。心理描写が多いものは、登場人物の信条の移り変わりを把握するのは簡単なのですが、登場人物の感情を、違う形で言い換えている場合もあります。つまり、情景描写から、登場人物の心理をうかがうことも出来、それを見つけ出すことが試験では大切になってくるのです。
●数学の傾向と対策
1.計算
2.数の規則性
3.連立方程式
4.一次関数
5.合同証明
数学では応用問題が多く出題され、教科書の内容と比べ、一番差がある科目となります。しかしながらまずは、基礎基本から始めることが肝心です。大問1では比較的簡単な計算問題などが出題されます。配点の4割がここに充てられていることを考えると、簡単な問題を正確に解く能力は、必要であることがご理解頂けるでしょう。
大問2以降は、文章問題や図形問題が中心となり、難易度が上がります。それらを攻略するには、まずはよく出題されるお決まりの問題を用いて練習を重ねるのが良いでしょう。よく出題されるお決まりの問題を解くことは、傾向に沿った対策という意味だけにとどまりません。「これは、こう解く」 「こういう問題はこのように解く」 たしかにそのような1つ1つの解き方を知ることは必要です。しかし数学で求められていることは、1つ1つの問題を解くための解法ではなく、思考力なのです。
思考力とは、答えにたどり着くまでの道順を理論的に考えることで、いくつかある道順の中からどれを選択するかを自ら考えることに当たります。思考力を磨くには、与えられたものをただ単に公式に当てはめて解くだけではなく、やはりそこには自ら考えることが求められます。練習ではできていたのに、実際のテストでは答えが求められなかったというのは、緊張のせいもあるでしょうが、やはり思考力の問題があることも見逃せません。
なかなか得点が安定しない数学で高得点を狙うには、基本を押さえることから始め、試験の直前には、実際に出題される問題よりやや難しい問題にも取り組み、どうすれば答えまでたどり着けるかという練習を多く積むことが、生徒達には求められるのです。
●社会の傾向と対策
1.世界地理
2.日本地理
3.歴史
4.総合
5.公民
配点としては歴史と地理がおよそ40点ずつ、公民が20点くらいとなります。配点が高い歴史と地理の勉強が中心となるでしょうが、地理は資料の読み取りなど、問題と向き合って考えながら解く問題も多く出題されます。よって、準備をしておくべきことの中心は歴史となることでしょう。
歴史はもちろん、教科書すべてが出題範囲となります。多くの生徒は歴史の教科書の初めから学習し直しますが、分野ごとに分けてまとめていく学習も効果的です。戦争史、農業史、貿易史・・・、このように分けてまとめると良いでしょう。
また最近では、そのことが起きた場所を問う問題もよく出題されます。日本地図や世界地図を用いて、場所を確認しながら問題を進めていくと良いでしょう。
定期テストに比べると、応用問題や細かい部分まで把握していないと解けない問題も多く出題されます。しかしながら肝心なことはやはり、暗記だけに頼るという勉強法ではなく、「なぜそのようなことが生じたのか?」・「その結果どうなったか?」というように、覚えるべき事柄の前後関係を把握しながら学習を進めることです。そうすることは暗記にもきっと役立ちます。
また公民の勉強が遅れがちになります。習ったばかりのことが応用問題として出題されると、なかなか正解にはとどりつけないでしょうから、早めに公民の学習をはじめ、理解と暗記を同時に進めるようにしましょう。
●理科の傾向と対策
1.植物
2.動物
3.地学
4.天気
5.化学2
6.化学3
7.物理(光)
8.物理(電気)
理科は分野別に勉強できるため、最も勉強しやすい科目となります。しかし語句を問う問題だけでなく、計算問題や記述問題も出題されます。暗記科目と言われることもありますが、決して暗記だけに頼らず、しっかりと内容を理解していくことが必要です。
学力診断テストで必ず問われることの1つ目は、実験や観察に関することです。実験器具や観察器具の名前や使い方、そして実験のやり方と結果についてまとめ、なぜそのような結果になるのかをまとめましょう。実験や観察で使用される薬品名、何に反応するか、反応するとどうなるのか、それらについてもまとめておくと良いと思います。
また、理科では計算問題も少なからず出題されます。その計算方法の解法パターンはごくわずかです。理科の計算もポケットノートにまとめるなどすれば、計算が苦手な子でも対応できるようになります。
●学力診断テストの勉強法
学力診断テストは定期テストなどに比べて、応用問題が中心となりますから、難しいテストと言えます。それに、入試とは違って過去問題などが書店で購入できませんから、学収受k部に通っていない生徒にとっては、対策がしにくく、勉強が遅れ気味になる恐れがあります。
まず対策に必要なのは、どういう問題が出るかを知ることです。ですから、学校の先生に過去問を貰いに行くなどして、早めに問題の傾向などを自分の目で確かめることが必要です。もし学力診断テストの過去問題がもらえないようならば、確認テストの問題が比較的似ていますから、それを用いて勉強することも効果的だと言えます。
●基本を無視しないように
難しいテストとはいっても、やはり基本を無視しては応用力が付くわけはありません。また基本的な問題も出題されるため、そういう問題で得点を取りこぼしていては、高い点数は見込めません。 ですからまずは、基礎基本の徹底が重要となります。
基礎基本の徹底には、教科書の内容、それに学校の授業を無視することは出来ません。まずはそれらをしっかりと行い、定期テストレベルの問題なら難なくこなせるようにしましょう。その上で応用問題に取り組むことが効果的だと言えます。